ハロー、ギターで4度堆積ワールド

あらまし

4度堆積和音という概念がある。

通常の和音(コード)、すなわち3度堆積和音は「ド・ミ・ソ」のように、

鍵盤を「一つ飛ばし」で重ねる。

そこをさらに一つ飛ばして、「ド・ファ・シ♭」のように重ねるのが4度堆積和音だ。

 

(ところで、同じ音程(ユニゾン)が1度で隣の音が2度という数え方、

 ちょっと違和感を覚える。ゼロが発明される前の概念なんだろうか)

 

3度は協和音だと言われるが、4度は不協和音まではいかなくてもかなり緊張感のある響きがする。

sus4コードを思い浮かべてもらうと分かりやすいかもしれない。

その4度を3度の代わりに基本とするわけだから、かなりアクの強い響きとなる。

 

で、この4度体積、ギターでやるとやりやすいのではないか、というのが今回の話。

説明

というのも、ギターの各弦は低い方からEADGBEとなっている(レギュラーチューニングの場合)。

これは音程の差でいうと、4度4度4度3度4度だ。

つまり、何気なく弦をガバっとつかめば、それだけでもうかなり4度堆積和音なのだ。

あるいは、何も押さえずに開放弦をジャラっと弾けば、3度が1個だけ混じった4度堆積和音が得られるのだ。

ギターは4度堆積和音に向いているといえよう。

実践

Dm7(11)

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名前は難しげだが、見ての通り押さえ方はさほどでもない。

それどころかDm7から薬指を取った形なのだ。

Dm7よりかんたん!

参考にDm7

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サウンド的には、Dm7に似ているだけあって聞きやすいが、ちゃんと4度堆積ならではの緊張感も感じられる。

一番取り入れやすそうなボイシングだ。

D69

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前のDm7(11)の2,3,4弦が1フレット下がった形。

DとF#の間の音程が長3度で、他は(完全)4度。

この押さえ方、ジャズやボッサで出てくるような感じ。

つまり違和感が少なく、かつ4度堆積の醍醐味を味わえるいい押さえ方。

Dmaj7(#11)

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もう一つのメジャーコード系。

今度はDとG#(譜面だとAbになってる)の間が増4度で、他は完全4度。

増4度が気になるかと思いきや、4度堆積のアクの強さのほうが勝り、結果的にあまり違和感はない。

とはいえ、普通の曲でいきなり出てきたら驚くような響きではある。

キメとかで使うならいいかも。

Dsus4

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sus4さん、あんたこっちの仲間だったのか…!

今度はDとAの間が完全5度、残りは完全4度となっている。

これは違和感はないけど、かわりに4度堆積の醍醐味もあまりない気がする。

A69

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文字が重なってしまった…。

ここから6弦ルートに入る。

音程はAとF#の間が長6度、その先は完全4度。

これもなかなか。

6度ならではのまろやかさと4度堆積和音のエグみが調和している(美味しんぼ並感)

Am7(b13)

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こいつが難敵。

b13のF音が入るわけだが、AmにFが入ったらコードとしてはもうFじゃね? という疑惑があるのだ。

しかし聞いた感じではギリAmの調性に収まっているように思えたので掲載。

使いどころは難しそう。

Amaj7(13)

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いわゆる普通のメジャーセブンスに13を足した形となり、一般的なコードの感覚できける。

それでいて4度堆積みはあるので、なかなか使いやすいボイシング

欠点は押さえるのがちょっとむずかしいこと。

まとめ

5弦ルートはマイナー、6弦ルートはメジャーに強いように思った。

開放弦を利用するなどすれば、さらに面白い響きが追求できそうだ。

やはりギターは4度堆積に向いているように思う。

作曲に取り入れるコツとしては、思い切って「4度堆積モード」に入り、最初から最後まで4度堆積で突っ走ること。

響きが面白いので上下動しているだけでもなんとなくリフになる。