アトリエお祭りゲー「ネルケと伝説の錬金術師たち 新たな大地のアトリエ」が思いの外面白かった
面白かった
1週目バッドエンド、2週目トゥルーエンド、2週目延長でイベント回収までやった。
これは非常に面白い経営シミュレーションゲームで、しかもキャラがかわいいゲームだ。
お祭りゲーとのことだったので「キャラがかわいい」はともかく、「非常に面白い経営シミュレーション」にはあまり期待していなかったが、ハードルを超えてきたよ。
前説
自分は基本任天堂派閥だったせいか、アトリエシリーズは最近まで名前だけ知ってる感じだった。
3DSでロロナのアトリエが出たので、それをプレイしてアトリエ面白いかもなあと思い、
その後スイッチでリディー&スールのアトリエもプレイした。
つまりアトリエ歴は2作と、お祭りゲーに手を出すには前知識が無いほうだと言わざるを得ない。
それでも突撃したのは、経営シミュレーション、特に街づくり要素に惹かれたからだ。
Civilizationやカイロソフトものは好きだったので、
あんな感じにプラスして錬金術の調合要素があれば面白いんじゃないかなと思った。
とはいえ、期待はそんなに高くなかったが、
良い方に期待を裏切ってくれた。
概説
街づくりやキャラへの指示などを行う平日パートと、
キャラの会話イベントと「調査」で新たな素材の捜索を行う休日パートに分かれている。
平日
まず平日パートの街づくりと指示。
例えば「アトリエ」「雑貨屋」と言った建物を建てるパートだ。
建てた建物にはキャラを配置できる。
(誰も配置しなかったときに配置されるお手伝いさんがかわいい)
大まかなカテゴリがあり、
- 「花畑」「畑」「林」「牧場」はすでに「調査」で取得済みのアイテムを自家生産できる。
- 「雑貨屋」「食品店」「武具屋」「服飾店」「薬屋」はそれぞれ、アイテムカテゴリに応じたアイテムを販売し、お金に変える。
- そして「アトリエ」は素材そのままのようなアイテムを、高値で売れる「使える」アイテムにする工場のような役割を持つ。
いちばん簡単な例で行くと、
「畑」で「小麦」を収穫
->「アトリエ」で「小麦」を「小麦粉」に
->「食品店」で「小麦粉」を売る
というような流れ。小麦粉のままで売ったことはないけど(さらにパンとかにする)。
お金は次なる建物を建てるのに使ったり、土地を増やしたりする。
つまり、「畑->アトリエ->食品店」ループをこなしているうちに、もう一つ大きなループ「建設->稼働->儲けアップ->新たな建設」というループをこなせるようになるわけだ。
だいたいこの平日パートで経営面のすべてができる。
リザルトも表示されるのは平日の終わり。では休日は?
休日
休日は「キャラと会話する」か「調査に出てアイテムを集める」の2つを天秤にかけることになる。
12マスぐらいの「ターン」をもらえるので、そのターンが許す限り会話なり採取なりができる。
「調査(採取)」は先ほどの畑で生産できるアイテムの種類を増やす重要なパートで、お金はここでも使う。
あまり重要ではないとはいえ、RPGの華である戦闘もここで起こる。
じゃあキャラの会話はそこそこに「調査」すればいいかというとそうでもない。
会話によって好感度を上げておかないと詰む場面があるのだ。
それが「研究」。
一応休日に配置されているが、特にターン消費は無いので事実上いつでもできるコマンドだ。
「アイテム素材」、「お金(研究費)」、「好感度が所定まで上がったキャラ」が揃った状態で選択できる。
お金は正直わりとどうでもいいが、素材はちょっと苦労することもある(特に制限時間の課される研究)。
しかしそれら以上に、好感度はけっこうシビアに管理していないと、いつまで経っても研究できない。
研究のうまみは3種類あり、アイテムが強化されるもの(例えば新型の爆弾)、街づくり用のアイテムを追加できるもの(例えば新しいレンガ)、そしてメインシナリオである「遺物の調査」に関係しているものだ。
遺物の調査はエンディングにも絡むので、俺は町さえ作れればいいということでなければ、研究は無視できない。
つまり、好感度を上げる会話も無視できないのだ。
シナリオ
平日と休日を繰り返し、うまく回っていると人口や建物が増えて町が発展していく。
ではそもそもなぜ町を発展させるのか。
ここまではほぼ経営シミュレーションゲームだったが、ここでRPGっぽくなる。
主人公のネルケの目的は2つあり、
1つは遺物の調査(過去に遺物に巻き込まれた友達の捜索)、
そしてもう1つは村の発展だ。
ネルケはアトリエシリーズでは異例の錬金術が使えない主人公で、貴族である。
貴族の仕事の一環として村を発展させ(るスキを見て遺物を調査す)るといった感じの行動原理がある。
ネルケの父親は(登場しないが)過保護であるらしく、
ネルケが辺鄙な村から自分たちのいる都会に帰ってくるように願っている。
そこでネルケの村の発展事業に課題を出してくるのだ。
(公私混同だ…)
課題は最初は人口300人と言った簡単げなものだが、だんだん厳しくなってくる。
遺物は異世界とつながる力があるらしく、
今回ネルケが探索しようとしている遺物の力で、ロロナやらマリーといった異世界の錬金術師たちが村に来てくれることになる。
自分たちも(帰るためなどで)遺物を調査したいのでネルケに協力したほうが美味しい。
そんなわけで、シナリオ的には無理なく街づくりと研究を両立させることになっていると思う。
アトリエシリーズお約束だと思うが、膨大な数のイベントがあり、
今回歴代キャラが揃っている都合上会話コマンドが埋まりっぱなしになるほど賑やか。
そちらを重視している人もまあ満足なんじゃないかと。
ゲーム性
自分はどっちかといえば経営シミュレーション要素を期待していたので、そちらを語る。
先ほどCivilizationとカイロソフトの2つのシミュレーションゲームを挙げたが、
まさにこの2つの中間のような印象のシミュレーションパートになっている。
Civilizationシリーズの特徴はなんといっても勝利条件が複数あるということだと思う。
戦争でライバルを蹴落とすもよし、科学で一人ロケットを飛ばすもよしなのだ。
しかし戦争でライバルにダメージを与えることは、科学で一人ロケットを飛ばすためのアドバンテージでもある。
各勝利条件にはシナジーがあるのだ。
ネルケの場合は、勝利条件(エンディング条件)は「メイン研究を最後まで終わらせた状態でボスを倒すこと」だけだと思われるが、
そこに持っていくために、「メイン研究を進めつつ調査にお金がいるので店パートも頑張る」と言ったようなシナジーを期待する要素がある。
結果、なんとなくプレイフィールが似ている。
Civは本当に参考にしたんじゃないかと思っていて、
「終わらない建設で理想の街を目指す」タイプ(シムシティやThe Tower)ではなく「比較的短いプレイをなんども試して今回はこうなったか」と楽しむタイプのシミュレーションにしあがっている。
ただ、それを十全に面白がるにはちょっとまとまった時間が必要。
カイロソフトについては、あのリソース管理感が素材と調合で完全に発揮されている。
ただ、アトリエもそもそもリソース管理が主軸であったのでこれは参考にしたわけではないと思う。
面白み
このゲームの面白みは、複数ある道の中からどれを選んでいくかという「行動指針のブラッシュアップ」だと思う。
例えば、さっきも書いた臨時お手伝いのお姉さん、とても能力が低いのだが、
畑などの生産系施設はそれなりにこなせる。
そこで「畑を多く建て、臨時お姉さんでなんとかする」パターンと「畑も少数精鋭にし、顔ありキャラに任せる」パターンができる。
どちらも同じ程度素材が入るとすれば、違いは
- 資金の消費。多く建てるほうが資金消費は高い
- キャラの消費。お手伝いさんは無限だがキャラには限りがある
- 土地の消費。これは「開発面積」が評価対象なのでいい面と悪い面(思い通りの町にならない)がある
と言ったところか。
正直、どちらも正解なのだが自分の理想にはどちらが近いのか、
という吟味の楽しみがある。
ちなみに自分は初回プレイ(バッドエンド)では土地に積極的にキャラを配置したが、クリアしたプレイでは臨時お手伝いさんを活用した。
まとめ
行動パターンを吟味する楽しみがあるゲームって、それだけで面白いゲームだと思う。
で、あとキャラはかわいいのはお墨付きなので(自分はフィリスとヴィーゼが気に入った)
合えば満足感のあるゲームだと言える。
問題として、今誰に何を依頼しているかという一覧性がいまいちなのと、
休日パートと平日パートの密接さはもっと高めたほうが良かったのではないかという気がするくらいかな。
満足度の高いゲームでした。