Waves の Flex の対象になったプラグインから10個(13個)選んでみた

あらまし

WavesFlexというサービスを始めたらしい。

https://www.waves.com/bundles/flex

Wavesが10種類のプラグインを月額利用できる「FLEX rent-to-own plugins plan」開始! | Computer Music Japan

概要としては、対象となる85個? のプラグインの中から10個を選択し、月額19.99$でサブスクリプションできるというもの。

サブスクリプションでありながら、24ヶ月続ければライセンスがもらえるらしい。

さらに今なら使えるプラグインが10個から13個に増量されているようだ。

 

「らしい」とか「ようだ」とかで不確かだが、まあとにかくそういうサービスらしい。

で、せっかくなので85個? のプラグインの中から10個(13個)選んでみることにした。

実際にサブスク購読するわけではなく、そのシミュレーションをするということで。

想定としてはプラグインをあまりor全然持っていない人が、Flexだけでなんとかしようとしていると想像している。

つまり各種エフェクトをまんべんなく集める想定。

まず10個

85個のうち、独断と偏見で優先度の高そうな10個。

  1. L3 Multimaximizer
    まずは定番マキシマイザーであるL3をチョイスした。
    マキシマイザーはコンプレッサーの一種で、マスタートラックにかけて全体の音量感を調整するときに使うのが主なコンプレッサーをマキシマイザーと呼ぶようだ。
    「Multi」の単語が入っているようにマルチバンド式、低音や高音の独立したコントロールができるのがウリである。ベースにだけパンチを効かせたい、とかができる。
    まあプリセットを選ぶだけでそれなりにはなる。85個の中でもマストだと思う。
  2. H-Comp Hybrid Compressor
    続いてもコンプレッサー。「Hシリーズ」というバンドルに入っているのを買うのが本来であろうH-Compをチョイスした。
    L3とは違い、これは単体のトラックにかけるのが基本となる。「Analog」ツマミを回すことで質感を変えることができ、そのツマミをゼロにすれば透明なコンプにもなる。
    ルネッサンスシリーズ」のコンプとも迷ったが、質感の種類が選べるのはいい仕様だと思うのでこちらにした。
  3. H-EQ Hybrid Equalizer
    続いてEQに入る。これまた「Hシリーズ」のEQ。
    このEQについては周波数特性がリアルタイムに表示される機能もあるので、見ていて分かりやすいのがフレンドリーだと思う。よく使う。
  4. OneKnob Driver
    これは分類としてはサチュレータあるいはディストーションになるかと。「OneKnob」バンドルの中の一つ。元のトラックを歪ませて倍音を加える。
    歪みを加えるというと難しそうなイメージがあるけど、まあ加えてみて前のよりカッコよかったらいいと思う。
    実はサチュレータにはKramer Master Tapeといういいのがあり、それが85個に入っていればそれを選んでいたのだが、One Knob Driverにはノブ一つで完結という大きな特徴があり、悪くはない。
  5. PuigChild Compressor
    これまたコンプレッサーだが今回はアナログ機器のシミュレート系の中からチョイスした。
    H-Compのところで「質感」という言葉が出てきたが、まさにこのプラグインは質感目当てでぶっ刺すプラグインである(たぶん)。
    ダイナミクスを補正するというよりも、「なんかスネアにパンチがほしい!」みたいなときに使えるし使う。
  6. S1 Stereo Imager
    毛色が変わってステレオイメージャー。モノ信号をステレオに広げたりする。音作りとユーティリティの境目あたりのプラグインだ。
    モノとステレオの質感の違いというのは大きく、広げることで他の楽器と被らないようにすることもできたりする。便利なので一つ。
  7. Center
    これも音作りとユーティリティの中間くらいのプラグイン。ステレオ音源の左右成分を強調したり弱めたりできる。
    EQなどで加工するより、ステレオの感じを利用して楽器の棲み分けをしたいことはままある。すごく便利だと思う。
    すごくググラビリティが低い。
  8. TrueVerb
    これはリバーブ。特徴としては、リバーブは普通センドで送ることが多いがTrueVerbはそのままトラックに挿すことが多い。
    想定ではFlexのみである程度のプラグインを揃えるということだったのでリバーブも入れた。IR1 Convolution Reverbのほうが高品位なリバーブだと思われる(持ってない)が、使い勝手はたぶんTrueVerbのほうがいいのでは。
  9. SuperTap
    ディレイ。多機能かつ音色もいいらしいが、自分では(持ってるものの)あまり使ったこと無い。
    Flexのみである程度のプラグインを揃えるという想定だったのでディレイも欲しかったが、ディレイの選択肢がこれくらいしかなかった。あまり使ったことないので音は判断しづらい。
    自分はKramer Master Tapeのテープディレイが好きで、ディレイが欲しかったらそれを使うことが多い。
  10. Waves Tune
    オートチューン。いわゆるケロケロボイスみたいに、強引に歌のピッチを変えることができる。
    歌の直しにも使えるし、積極的に音作りしてもいけるので、いいのでは。

+3個

現在は開始直後のボーナスで13個まで行ける。なのであと3個も選んで見る。

  1. MV2
    これもコンプレッサーなのだが、音量レベルの上限と下限を指定することでその範囲内でダイナミクスを表現してくれるプラグイン
    生演奏のようにダイナミクスが豊富な音源を整えるのに使えると思う。
  2. Vitamin Sonic Enhancer
    これはエンハンサーで、原音に倍音を付加することで音色を明るくしたり重低音を増したりできる。
    基本的なエフェクトを優先して選んだので10個からは漏れたが、けっこうおすすめ。自分はアコギに使ったりしている。
  3. L1 Ultramaximizer
    L3と同様、マキシマイザーだがこちらのほうが古く、マルチバンドでも無い。
    L3との違いを体感して、使い分けたい(できるとは言ってない)。

惜しくも選外

欲しいけど13選に漏れてしまったプラグイン

  1. CLA Bass
    クリスロードアルジさんが作った、ベース専用のチャンネルストリップ。
    EQとかコンプとかコーラスとかディストーションが全部入りで、ベースに最適化されている。
    選外にしたけど、よく使う。ベースにかける(当たり前)。
  2. JJP Vocals
    J.J.プイグさんが作った、ボーカル用のチャンネルストリップ。
    持ってないのだが、たぶんCLA Bassと同じような感じで使えると思う。
  3. Eddie Kramer Drum Channel
    エディ・クレイマーさんが作った、ドラム用のチャンネルストリップ。
    この「各楽器専用」シリーズは目的がはっきりしているぶん使いやすくていいのだが、そこが逆に幅が狭いかなと思った。あまりプラグイン持ってない人はH-Compとかそういう汎用のがいいのではと。
    なのでこれらが落選したのは品質が原因ではなく、今回の選出コンセプトのせいだと言える。
  4. Electric 88 Piano
    エレピの音源。プラグイン・エフェクトではなく音源。
    安くなってたときに手に入れたのだが、読み込み時間がそれなりにありその間音が出ないというのがあまり気に入らなかった。音は全然問題ないと思う。
    例えば10個まで行けるときに9個しか候補が思いつかないなら、これを選ぶことを検討してもいいのではと思う。
  5. Element 2.0 Virtual Analog Synth
    アナログ・シンセの音源。
    これも安くなってたときに手に入れたのだが、シンセの入り口にするにはなかなか良さそうな感じだった。アルペジエータもあるし。

このプラグインも欲しい

85個の中に入ってなかったが欲しいプラグインたち。

  1. Kramer Master Tape
    テープ・マシンに取ったときの効果をシミュレーションする、シミュレータ系のプラグイン
    テープ・マシンについて詳しいわけではないのだが、音が歪むことにより倍音が付加されたり、劣化することによりフィルターがかかったりするのだと思われる。さらにテープによるコンプレッション、テープによる歪みもある。
    つまり*使いこなせれば*EQ、コンプ、サチュレータが一緒になったようなもの。しかもディレイもついてる。このディレイ好き。
    使いこなせればと書いたように、どのパラメータをいじるとどうなるのかがわかりにくい。まあプリセットを順番に試して気に入ったのを使えばそれなりになる。
  2. J37 Tape
    Kramer Master Tape同様、テープ・マシンのシミュレータ。
    アビーロードスタジオにあったテープ・マシンを解析したらしく、そう言われればそうかもなって気がする。ベースにかけたときとか。
    これもまた*使いこなせれば*EQ、コンプ、サチュレータとして使え、ディレイもついてる。
    Kramerのほうが好きだけどそれはなんでなんだか自分でもわからない。
  3. CLA-76
    スタジオ機材の定番らしいコンプレッサーをシミュレートしたプラグイン
    持っていないのだが、同じ76タイプのプラグインNative Instrumentsさんのほうで所有しており、それは便利に使っている。なのでたぶんWavesのも便利だと思う。

選出してみて

コンセプトが「Flexで始める」だったので、いろんなタイプのプラグインを総ざらいしたが、他のコンセプトもありうる…

けれども「Flexで始める」が一番ありそうなストーリーだと思う。

何故かと言うと、Wavesのすべてのプラグインではなく、85個のプラグインから選ばなければいけないので自由度があまりないからだ。

例えばコンプレッサーばかり10個選ぼうとしても、CLA-76は選べないわけだ。

なのでプラグイン初心者がFlexで始めて、うまく行きそうだったら引き続き購読する、という形が一番ありそう。Wavesもその需要を狙っているのでは。

ただMaster TapeかJ37は欲しかったなあ。

追記

Waves Tuneを入れ忘れていたので該当箇所に入れた。