ロックの魔の手からギターを救うには
ギターとロックの如何ともしがたい結びつきの強さ
ギターという楽器と、ロックというジャンルは深く結びついてしまっている。
他にギターが活躍するジャンルとしてはフォーク、ジャズ、ブルース、ラテンなどがあるが、
あろうことかそれらも気を抜けばロックになってしまう。
(フォークロック、ジャズロック、ブルースロック、ラテンロック)
ジミ・ヘンドリックスは不世出のギタリストだが、
やっている音楽はけっこうブルースやソウル・R&B寄りのような気がする。
なのにロック界で王者のように言われているのを見ると、ジミヘンが例えばピアノの天才だったらどうなっていただろうと思わざるを得ない。
この記事の目的とロックギターの定義
別にロックがやりたいわけじゃないギタリストはどうやって生きていけばいいのか。
それをここから考察する。
ちなみにこの記事におけるロックギターとは、
割と歪んだ音でコードをジャカジャカとかじゃらんと鳴らすタイプが近く、パワーコード・リフ系も入る。
とにかくギターに「音圧感」があればロックの香りがするのだ。
1.ギター音量を下げる
真っ先に思いつくが、あまりやりたくない解決方法。
ギターで左右にビタッと張り付くような音圧感を出してしまうと、どうしてもロックになる。
ギター音量を下げることで、ロック以外の要素が見えてくる…だけど、
そもそもギタリストとしてのエゴを出したいからロックじゃないギタリストの生き残り方を考察しているわけで、
音量を下げるとエゴが満足してくれない。
そう、エゴはめんどくさいやつなのだ。
2.ギターを高域に寄せる
ロックといえば、リフだ。
リフは低く太い音でやるのが一般的。
例を上げればスモーク・オン・ザ・ウォーター(ディープ・パープル)。
そうではなく、高域でのプレイに寄せてみると確実にロック感は減る。
3.エフェクトをかける
例えばカーティス・メイフィールドはワウを使っていた。
モジュレーション系のエフェクトは同時に音を後ろに引っ込ませる。
ディレイやリバーブはそのまま音が引っ込む効果がある。
ロック風の音圧感を外したければ、音色面も検討すべきかもしれない。
4.アルペジオ
ロックでもアルペジオが多用されているのは確かだが、
しかしアルペジオ単体ならそれほどロック感(ギターの音圧感)は出ない。
実例に学ぼう
1.カーティス・メイフィールド
ソウルの大御所はレイ・チャールズ、スティービー・ワンダーのような鍵盤弾きが多いが、彼はギタリスト。
ワウなどで音を揺らすことでギターの居場所を作っていたように思う。
が、ライブ盤以外でのギターの存在感は薄め。
ギタリストとしてのエゴが…!
2.エド・シーラン
今をときめくSSW。
アコギをパーカッシブに鳴らすパターンが多い。
それ以外のパターン(例えばThinking out loud)なんかだと途端にブルース寄りになって一歩間違えばロック。
なので、アコギをパーカッシブに鳴らすというのは一つの回答でありそうだ。
3.山崎まさよし
ブルースを基調にしたJ-POP、という難しいことをやった人。
この人もアコギをパーカッシブに鳴らす。
そして忘れてはいけないのが、アルペジオの名手でもある。
「パッセージ」あたりのドラムマシンとアルペジオの絡みはコンテンポラリーというか、自分のやりたいことに近い。
結論
ギタリストとしてのエゴを捨てずにいまどきのポップをやろうとすると、
「パーカッシブなカッティング」「アルペジオ」「ワウなどのエフェクトで引っ込ませる」あたりが可能性としてあるようだ。
それらをやりつつ、ちょっと音量を下げることで自分のやりたいプレーと最近のポップを両立させたい。