最近わりと見かけるコードの4-1-5-6m進行はどういう意図があるのか
4−1−5−6m進行とは
テイラー・スウィフトのこの曲
でおなじみのコード進行、4-1-5-6m進行(名前は特にない?)。
1度がその曲のキーだとして、4度のコード(サブドミナント)から始まり、1度に戻ってきたあと、5度(ドミナント)に向かって(ここがカッコいい)6度のマイナーに落ち着くという、なかなか使い勝手のいい進行である。
使い勝手◎
コード進行で有名なカノン進行(1-5-6m-3m-4-1-2-5、バリエーション多々あり)と比較すると、
- カノンほど濃くない(これ大事)
- それでいてストーリー性がある
- 適度に浮遊感がある
などの理由で、適材適所とはいえ使い勝手では勝ると思われる。
カノンは濃い。バラードとかにはいいのだけれどコード進行に浮遊感が求められるジャンル(ダンス系になるだろう)には向かない。
しかしこの進行、冷静に考えるとあまりセオリーに則ってない気がする。
そこでこの記事では、どういうところから4−1−5−6mが導き出される(出された)のかを考察する。
まずどこに違和感があるのか
例えば4−5−6mやその兄弟とも言える4−5−3m−6mは、流れが感じられる。
サブドミナント(4)はドミナント(5)へ進み、ドミナントはトニック代理(6m、3m)につながるという、和声の理論的にかっちりした流れだ。
そこへ行くと4−1−5−6mはサブドミナント(4)からトニック(1)へ進み(そういう流れもあるが)、トニック(1)からドミナント(5)へ進み、ドミナント(5)からトニック代理(6m)につながるという、まあありっちゃありなんだけどストレートではない流れをしている。
でも美しい。そして自然である。
美しくて自然なら、何らかの法則が隠れているのではないか。
慌てて言い添える
別に理論的にかっちりした流れしか認めないというわけではない。
例えばEmaj7-Cmaj7-Emaj7-Cmaj7という流れの曲をこの間作ってボツにしたが、これは理論というよりは単にmaj7をCに平行移動した感じで作っていた。
そういうのがいい場合もある。
また、どういうところから導き出されたにせよ、いったんできてしまった進行は理解できないままパクってもよい。
よほど技巧を凝らした作風でなければ、実用には理解できないままのパクリで問題ないと思われる。
そもそも、和声といえばクラシックかジャズ(ポピュラー)かだが、どっちにせよそんなもの広大な音楽の一部でしかない。
仮に4-1-5-6mが和声的に「間違っていた」としても、他の音楽の体系では問題でない可能性が高い。
ただ、4-1-5-6mは自然に聞こえるので、和声的にも「正しい」のではないかと思っただけだ。
長い言い訳だった…本編に戻る。
1.4度下降(アーメン終止)の連続では?
ちょっとブルースやゴスペルが入ったロック、テデスキ・トラックス・バンドあたりでは5度(ドミナント)からの終止をせず、4度(サブドミナント)からの終止をすることが多い。
これはアーメン終止と言われている。(確か教会の賛美歌から)
で、ダブルアーメン(これは自分が名付けた)をすることもあって、
その場合
4度上のさらに4度上(短7度・B♭)- 4度上(4度・F) - 主和音(1度・C)
という動きをする。
これをFから始めれば、
4度上(F) - 主和音(C) - 4度下(G)
という動きになる。
数字で言うと4-1-5。5で終わるのもいいけど6mをつけてきれいに終わらせて完成。
長所:4−1−5が見事に説明できる。
短所:6mつけたしなん?
2.1-5-6m-4を並び替えた形では?
1-5-6m-4というのは実はよくあるコード進行で、例えばレット・イット・ビーのイントロとかがそうだ。
これを4から始めれば、4-1-5-6mが完成する。
1-5-6m-4を練習中に偶然そうなって広まったりしたのかもしれない。
長所:6mも含めて完全に説明する
短所:1−5−6mはトニック-ドミナント-トニック代理という流れだが、サブドミナントから始まるとその流れは感じづらい。
聴覚上も1−5−6mがセットにはあまり聞こえず、4−1と5−6mがそれぞれセットのように聞こえる。
3.ファーミーレードーという流れに強引に和音をつけた形では?
こだわりすぎじゃないか。機能に。
ファーミーレードーというこの上ないほどシンプルな横の流れに、違和感なく縦のハーモニーをつけたら4-1-5-6mになったんだよ。
長所:4-1-5-6mの「自然さ」を説明できる
短所:4-1-5-6mにかぎらず、いろんなファミレド和音がありうる。
回答は出揃ったが
解答はない。あるいはあるのかもしれないがちょっと自分ではわからない。
ただあえて選ぶなら3.かなあと。
何故かと言うと自分が実際件の進行からファミレドを感じるから。
1-5-6m-4が並び替わった説は思いついたとき面白かったけど、やはり理屈より自分の感覚のほうがね、音楽を知ってる気がするのですよ。
ではまた来週!(本当か)
おまけ
ファーミーレードーの流れを含んだ進行は、
まず4-1-5-6m。
F(ファラド) - C(ドミソ) - G(ソシレ) - Am(ラドミ)
の他に4maj7-3m7-2m7-1maj7
Fmaj7(ファラドミ) - Em7(ミソシレ) - Dm7(レファラド) - Cmaj7(ドミソシ)
もあって、Em7ミソシレをConEミソド、
Cmaj7ドミソシをAm7ラドミソに変えると、
スティーリー・ダンのPegのサビになる。
ぺぐだいすき